英単語を効率よく覚えるには?

具体的な学習の話 · 2026年6月更新

「単語帳、ちゃんと見てるのに試験で書けない」——そう感じたことはありませんか。 英単語学習には英語→日本語日本語→英語の2方向があり、 ただ眺めているだけだと前者ばかりになってしまいがちです。

ここでは、英単語クロスワードが後者を鍛えるのに向いている理由を、身近な例から説明します。 あわせて、語彙学習の研究で知られている知見も触れます。 より詳しい解説は noteの記事「英単語クロスワードのすすめ」 でも読めます。

単語帳を眺めるだけだと、どこまで身につく?

単語帳やアプリで「英語の横にある日本語を読む」学習は、英語を見て意味がわかる方向には効きます。 リーディングやリスニングの土台にはなります。

一方で、日本語の意味から英語を思い出すスペルを1文字ずつ書く練習は、 眺めるだけではあまり増えません。英検の英作文やTOEICの記述、メールを英語で書く場面では、こちらが問われます。

つまり「知っているつもり」でも、出せない単語が残りやすい、というのがよくあるパターンです。

クロスワードだと「埋める」練習になる

英単語クロスワードは、日本語のヒントを読んで英語の単語を自分で入力する形式です。 単語帳の「受け取り」ではなく、日本語→英語の変換を毎マス行います。

  • 意味 — ヒントを読んで、頭の中で英単語を引き出す
  • スペル — 文字数と交差するマスに合わせて、綴りを1文字ずつ確定する
  • 語形 — 途中の文字が分かると、残りを推測しやすくなる(形の記憶がつく)

日本語の意味は分かるのにスペルが書けない、という状態をそのまま放置しにくいのがポイントです。 スペルが安定すると、ライティングでも同じ語を使いやすくなります。

単語帳・フラッシュカードとの使い分け

やり方 得意なこと 苦手なこと
単語帳を眺める 英語→日本語、語彙の一覧把握 日本語→英語、スペルの出力
フラッシュカード 繰り返し回数を増やしやすい、語数を広げる 綴りの練習は別途必要になりがち
英単語クロスワード 日本語→英語、スペル、復習の没入感 初めて見る単語の導入には向かない

初めて覚えるときは単語帳やカード、一度学んだあとの定着にクロスワード、という組み合わせが現実的です。 新しい語を100個ゼロからクロスワードだけで覚えようとするより、既習語の復習に使うほうが効率がよいです。

研究からも言われていること

上の話は感覚だけではなく、語彙・第二言語習得の研究とも方向がおおむね一致しています。 ただし、ここで挙げる研究はクロスワードアプリそのものを直接検証した大規模研究ではなく、 学習の原理を支える周辺エビデンスとして読むのが適切です。

  • 思い出す練習(テスト効果) — Adesope ら(2017)のメタ分析では、練習テスト読み返し(restudy)より学習・保持に有利なことが多いと報告されています。 クロスワードの「ヒントから英語を思い出す」は、この想起練習に近い形式です(一般学習の研究であり、英語専用ではありません)。
  • 練習の方向(日本語↔英語) — Terai ら(2021)は日本人学習者28名を対象に、語彙の想起練習で英語→日本語日本語→英語のどちらが有効かを比較しました。 結果は英語力によって異なり、初級寄りでは英語→日本語、上級寄りでは日本語→英語のほうが有効でした。 「日本語から英語を出す練習が重要」というのは、とくにある程度語彙が蓄積した学習者の文脈で支持されます(新出語の対訳暗記そのものではありません)。
  • 間隔を空ける(spacing) — Kim & Webb(2022)の第二言語習得メタ分析では、間隔を空けた練習詰め込みより有利で、 とくに時間を空けた後のテストでは長めの間隔が有利になりやすいと報告されています。 毎日少しずつ、翌日以降にもう一度、という使い方と整合します(アプリが最適間隔を自動計算する研究ではありません)。
  • クロスワード教材の報告 — Orawiwatnakul(2013)は大学基礎英語の授業でクロスワードを使い、語彙テストの得点向上学習への好意的な態度が見られたと報告しています。 綴りまで厳密に測定した研究ではなく、スペル練習の効果はクロスワードの課題形式からの合理的な推論です。
  • 受容と産出の違い — Webb(2009)や Yanagisawa(2016)などの整理では、見てわかる語彙自分で出せる語彙は別々に伸びる、という知見があります。 単語帳の「眺め」が英語→日本語に偏りやすい、という上の話の背景になります。

まとめると、研究が強く支持しているのは「クロスワードが常に最強」ではなく、 想起練習・適切な方向・間隔・産出の練習が語彙定着に有効、という原理です。 初めて見る単語を短期間に大量に増やす用途では、間隔反復つきフラッシュカードの方が向く場面もあります。

参考文献(抜粋)

上記の根拠となる主要文献です。DOI等は各論文を参照してください。

  • Adesope, O. O., Trevisan, D. A., & Sundararajan, N. (2017). Rethinking the use of tests: A meta-analysis of practice testing. Review of Educational Research, 87(3), 659–701.
  • Terai, M., Yamashita, J., & Pasich, K. E. (2021). Effects of learning direction in retrieval practice on EFL vocabulary learning. Studies in Second Language Acquisition, 43(5), 1116–1137.
  • Kim, S. K., & Webb, S. (2022). The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. Language Learning, 72(1), 269–319.
  • Orawiwatnakul, W. (2013). Crossword puzzles as a learning tool for vocabulary development. Electronic Journal of Research in Educational Psychology, 11(2), 413–428.
  • Webb, S. (2009). The effects of receptive and productive learning of word knowledge on L2 vocabulary acquisition. Studies in Second Language Acquisition, 31(4), 693–718.
  • Yanagisawa, S. (2016). 産出語彙と受容語彙の習得に関する研究の検討. 言語と文化の研究, 18, 1–12.

続けるときのコツ

  • 量より継続 — 1日10語など、少ない語数でも毎日やるほうが残りやすい
  • 間違えた語を繰り返す — ミスした単語を次回も出すと、弱点がそのまま復習になる
  • 紙でもやる — PDFに印刷して解くと、スマホ以外の場所でも続けられる
  • レベルを合わせる — 難しすぎると挫折、易しすぎると実感が薄い。CEFRや英検級の目安を参考に

LingoGridで試す

英単語クロスワードの学習教材です。品詞つきの日本語ヒントから英語を入力します。 間違えた単語は自動で追跡され、次回以降優先的に出題されます。

アプリで解くほか、PDFワークシートを印刷して紙でも使えます。 CEFR A1–C2対応。無料PDFは一覧ページから、 レベル別にはB1B2などからダウンロードできます。

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